273165 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

proud じゃぱねせ

proud じゃぱねせ

のんきとの出逢い 後編

その彼女の彼はチーフで、歳も結構上だった。当時40歳ぐらいだったかな。
またその友達でも用意されちゃってんのかなぁと思いながらも、
しらけモードの私は特におしゃれをしていく気も無く、
ポロシャツにジーンズ、汚れてもいいように安い白のリーボックで厚木まで。
ゲートでグズグズやらなくてもいいので、オープン・ベースって便利だなぁと思った。

バーベキューまでまだ時間があったので、友達の彼とその友達に準備を任せて、
やぐら(盆踊りの)の立つグランドまで、友達と、
ナチョでも買うかって事でプラプラ歩いて行った。
ナチョの出店まで後一歩ってとこで二人組の黒人の子に話し掛けられた。
一人は痩せてて背が高くて、見るからに若い。
もう一人は170cmちょっとで、筋肉ムキムキタイプ。
たぶん私と同じ歳ぐらいと見た。
いいねぇ、この厚い胸板。この筋肉の付きっぷり。
腹筋割れてるのが服の上から判るよ、お前。
わざとその筋肉見せびらかそうとしてるのがミエミエだよ、そのタンクトップ。
ハイ、そうです。これがのんき。

「どこいくの?」
「ちょいとそこまでナチョを買いに、、」
「よかったら僕が買ってあげようか?」
「いいよ、お金持ってるし。。」
友達はここんとこずっと、何とか私をしらけモードから脱出させようとしてた。
その彼女の顔に「こりゃいいぞっ」と思ったのがたっぷり出てるのが、
視界の端に写った。

そこで彼女、おもむろに痩せてる方の腕をつかむと、
「ちょっとホットドッグでも買ってくるよ。」っといなくなってしまった。

「名前を聞いてもいいかな、僕の名前はのんき。」
彼の言い回しが妙に私に気を使っているようで笑ってしまった。
「ここには彼と来てるの?彼女、ここのベースで見た事あるけど、、、
って事は彼女の彼の友達が君の彼なの?」
遠回しなんだけど、聞きたい事は解る。
「私は今誰とも付き合ってないよ。彼女とその彼に誘われてバーベキューしに来ただけ。」
彼の顔がにわかに明るくなった。

ぱっと見た感じ、眉間に深い皺を刻んでいて、なんて言うのか、
気難しそうな、喧嘩の強そうな顔をしている分、笑うととっても可愛かった。
「それじゃぁ、そのバーベキューに僕も行ってもいいかな?」
おもしろいリアクションだな。普通ついて来ないだろ。
「彼女の彼、チーフだよ。たぶんその友達たちも、、結構親父だけど、いいの?」
あまりランクが上の方に見えなかったので、一応言っといた方がいいだろうと思った。
彼は少しもうろたえず、
「君がいいなら、、僕は構わないよ。」とにっこり笑った。

誘ってもらっておいて、無礼をするのは嫌だったから、
取りあえず、ドアの所まで来てもらって、
私だけが中に入って彼女と彼にいいかどうか聞いてみた。
彼女は大喜びだったけど、彼は少し複雑そうだったけど、この際無視。
のんきを招き入れて、みんなに紹介した後、適当に坐らせた。

「チーフ」は事あるごとに私の側に来ては、
「彼はいぶらには若すぎるよ。もっといぶらの年齢にあった奴を紹介してやるよ。」
と私に耳打ちした。
後から聞いた話だけど、のんきにこれは丸聞こえで、
「後であいつボコボコにしたるって思った。」と言っていた。
ははっ、当時のこいつの性格考えると、笑えねぇ。。
(「旦那(のんき)について」参照)

夜も更けて、そろそろ家に帰ろうと、みんなにお礼を言って、
一人一人ハグして、のんきとともに部屋を出た。
彼は私を彼の部屋(同じ建物の1階下)に誘うでもなく、
(いや、期待していた訳ではないけど、よくあるパターンだから。。)
「君の車まで僕の車で送らせてくれる?」っととても紳士的だった。

私はベースに乗り入れが出来なかったので、
ベースから800m程離れた駐車場に停めていた。
お言葉に甘えてそこまで送ってもらう事にした。

名残惜しそうに私を見ていたけど、駐車場に着くと、
先に降りて私側のドアを開けてくれ、
「これ、僕の電話番号。よかったら電話くれるかな?」
電話番号を聞かれる事はあっても、もらう事って、そう言えば一度も無かった。
それに彼は一度も私の電話番号を聞かなかった。

車に乗り込もうとすると、
恥ずかしそうに、「帰る前にハグしてもらってもいいかな?」っと彼が言った。
体と顔の割に可愛い事言うなぁと思った。
なんかとっても新鮮で、いい気持ちがした。

それからすぐに私たちは付き合うようになった。
彼はクラブ通いに疲れていて、あまりクラブに行きたがらなかった。
私もある意味、ちょっと飽きが来てたので、
私たちは、もっぱら映画に行ったり、ビデオを借りてきて彼の部屋で見たり、ビリヤードをしに行ったりした。

彼はよく「ベース以外の日本を見たい。」っと言っていた。
私のまわりにいた黒人でこんな事言う人いなかったので、
そんな事もすごく新鮮に感じた。
彼のリクエストにお応えして、相模湖、丹沢湖、箱根、湘南海岸など、
観光地をいろいろご案内した。

私たちはそんな風に一緒に日本にいる時間を過ごした。

番外編 アメリカ留学計画に続く


© Rakuten Group, Inc.